
性能テストって、サーバーにランニングマシンで軽く走らせる感じ?
そうそう、普通の状態でどれだけ速く・正確に動けるかを見るの
じゃあ負荷テストは“マラソン大会で荷物もって全力疾走”って感じ?
正解!ムリさせて限界見てるの。
だから“体力測定”と“耐久レース”くらい違うよ!
今日は、性能テストと負荷テストの違いについて解説するね!
性能テストとは
性能テスト(Performance Testing)とは、システムやアプリケーションが快適に動作するかを検証するテストです。
性能テストはシステムが単に「正しく動く」だけでなく、「どれくらい速く動くか」「どれくらいの人数が同時に使っても動くか」など、システムの処理速度や同時利用時の安定性を検証することが目的といえるでしょう。
性能テストによって、システムの処理速度や同時利用時の安定性を確認することで、ユーザーが快適に使える高品質なシステムを実現できます。
性能テストの種類
性能テストには、いくつかの種類があります。要件や目的に応じて、適切なテストを選択することが重要です。ここでは、代表的な性能テストの種類を紹介します。
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性能テスト(レスポンステスト)
レスポンステストは、代表的な性能テストです。システムに通常時の負荷をかけて、その応答時間(レスポンスタイム)を測定します。 -
スケーラビリティテスト
スケーラビリティテストは、アクセスユーザ数やデータ量が増加したときに、効率的なリソース増強が可能かどうかを判断するテストです。 -
コンカレンシーテスト(同時接続テスト)
コンカレンシーテストは、特定のアクションが同時に起こったときに、正しく処理されるかを確認するテストです。デッドロックや競合状態などの不具合が発生しないかを検証します。 -
キャパシティテスト(容量テスト)
キャパシティテストは、システムが安定稼働できる最大のユーザー数やデータの量を測定するテストです。システムに最大容量を投入し、正常に稼働することを検証します。
目的や規模に応じた性能テストを実施することで、システムの品質を確保し、運用リスクを減らすことが期待できます。
負荷テストとは
負荷テストも性能テストの一つであり、その中でも特に負荷に注目したテストです。想定されるユーザー数やトラフィックをかけて、安定性や処理能力を検証します。
急激なアクセス数の増加やデータ量の増加は、いつ起こるか予測が難しいものです。しかし、アクセスやデータが急激に集中したときでも、システムは安定稼働することが求められます。
負荷テストは、システムがピーク時でも正常に動作し、サービスの品質が維持できるか検証するのが目的といえるでしょう。
負荷テストの種類
負荷テストは、システムのさまざまな負荷に注目したテストです。ここでは、代表的な負荷テストを紹介します。
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ロードテスト
ロードテストは、システムの処理能力が想定する性能要件を達成しているかを確認するテストです。通常運用で想定する負荷をかけ、システムの安定性や性能を検証します。 -
ストレステスト
ストレステストは、システムに限界を超える負荷をかけ、システムの挙動を確認するテストです。障害発生時の挙動や、回復能力も検証します。 -
スパイクテスト
スパイクテストは、短時間で急激に負荷をかけて、システムが瞬間的な負荷変化に対応できるかを確認するテストです。 -
耐久テスト
比較的長時間にわたって負荷をかけ続け、システムの安定性やリソース消費を確認するテストです。システムが、長時間運用でも性能が落ちないか、安定して稼働し続けるかを検証します。
それぞれの負荷テストの特徴を活かし、適切に実施することで、トラブルの予防やユーザー満足度の向上につながります。
負荷テストについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【負荷テストとは?必要性や手順も解説】ー負荷テストでよくあるお悩みー
性能テストと負荷テストの違い
性能テストと負荷テストには、どのような違いがあるのでしょうか。負荷テストは性能テストの一つではありますが、目的や実施範囲に違いがあります。以下に、具体的な違いについて紹介します。
性能テスト | 負荷テスト | |
---|---|---|
定義 | システムが通常時にどれだけ効率よく動作するかを評価するテスト | システムに高い負荷をかけたときの動作や安定性を評価するテスト |
主な目的 | 応答時間、処理能力、安定性、スループットなどの性能指標を検証 | システムが一定以上の負荷にどこまで耐えられるかなどの性能指標を検証 |
実施範囲 | 想定される通常の使用状況を評価 | 想定を超える高負荷や限界値に近い状態を評価 |
注目点 | 処理速度やリソース使用状況など | 耐久性、障害発生のしきい値、ボトルネックの把握など |
テスト対象例 | レスポンスタイム、同時接続数など | ピーク時アクセス、突発的なトラフィックの増加など |
性能テストは、システムが通常の利用状況でどれだけ効率よく、安定して動作するかを評価するテストです。このテストでは、レスポンス時間や処理速度などの性能要件を満たしているかどうかを確認します。そのため、性能テストの多くは、通常利用を想定した負荷の範囲内で実施されます。
一方、負荷テストは、特に負荷に注目したテストです。システムに高い負荷や大量アクセス、長時間稼働などの異常な負荷を与えて、動作の安定性や耐久性を評価します。
負荷テストによって、異常時を想定して、システムの持続性や限界を把握します。
性能テストと負荷テストは目的や実施範囲に違いがありますが、どちらもシステムの性能を評価するという点では共通しています。

性能テストと負荷テストの実施フロー
性能テストと負荷テストは、基本的な実施フローは共通しています。ここでは、テストを効果的に進めるための一般的な手順を紹介します。
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目的と評価基準の明確化
- なぜ性能テストや負荷テストを実施するのかを明確にする。
テストを実施する具体的な理由や、テストで達成したい目的を確認します。 - 性能テストや負荷テストの評価基準を明確にする。
テストで達成したい目標や、テスト対象の範囲、パフォーマンス要件などを定義します。
- なぜ性能テストや負荷テストを実施するのかを明確にする。
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テスト計画の策定
- テスト計画書を作成する。
テスト計画書には、テストの目標や範囲、担当者、スケジュールなどを設定し作成します。 - テストツールを選定する。
状況に応じて、必要なツールを選定します。たとえば、サーバー側にはCloudWatch、クライアント側にはJMeterといったツールを選定します。
- テスト計画書を作成する。
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テストシナリオ・テストデータ作成
テストシナリオ・テストデータを作成します。時間帯、想定ユーザー数、アクセスパターンなど、実際のユーザー行動を再現したシナリオを作成します。
また、同時アクセス数、リクエスト間隔、実行回数など、現実的な動作条件も盛り込みます。 -
テスト実行とデータ収集
本番環境を想定したテストを実行します。計画通りにテストを実行し、データを収集します。テストにより不具合が検出された際は、報告や改善案を提示します。 -
結果分析と報告
収集したデータをもとに、ボトルネックや問題点を分析します。分析結果を報告書にまとめ、関係者に共有します。必要に応じてリテスト(再テスト)を提案することで、品質の向上を図ります。
性能テストと負荷テストでよくある課題
性能テストと負荷テストはシステムの品質を保証するのに重要なテストですが、実施するにはいくつかの課題が考えられます。ここでは、性能テストや負荷テストでよくある課題を紹介します。
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専門知識やノウハウの不足
性能テストや負荷テストは、テストの設計・実施・分析といったテストに必要な工程に、高度な知識と経験が求められます。- テストシナリオ作成や適切な負荷条件の設計が難しい。
- ツールの操作が難しい、慣れていない。
- 分析で使う指標の意味を、正しく理解できていない。
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リソースの不足
性能テストや負荷テストを実施するには、計画から実行、分析までには、多くのリソースを必要とします。- 十分なテスト人員を確保できない。
- 開発やリリーススケジュールに追われ、テスト期間が確保できない。
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中立的な視点の不足
性能テストは開発者視点だけで進めてしまうと、本番運用で重要な観点が抜けてしまう可能性があります。- 開発者視点のみだと、想定外の使われ方に対するテストが不足しやすい。
- 第三者によるレビューや外部視点がないと、問題の見落としが起きやすい。
性能テストや負荷テストには、さまざまな課題があります。
これらの課題に対応する方法のひとつとして、第三者による検証が有効です。第三者による客観的で専門的な視点から、より効果的なテストの実施が期待できます。

まとめ
性能テストや負荷テストは、システムの品質とユーザー体験を保証するために重要なテストです。特に多くのユーザーが利用するWebサービスやクラウドシステムでは、機能の正確さだけでなく、パフォーマンスや信頼性が必要不可欠です。そのため、性能テストや負荷テストは確実に実施する必要があります。
リソースの問題などで、社内でのテスト実施が困難な場合は、システムテストの専門会社に依頼するのも効果的です。
株式会社GENZでは、性能テスト(負荷テスト)のサービスを提供しています。GENZ がお客様のご要望を丁寧にヒアリングしながら、システムが安定して動作するように、最適な負荷テストを一緒に進めていきます。
GENZの性能テスト(負荷テスト)サービスにつきましては、こちらをご覧ください。
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