
リモートでレビューするんだけど、画面共有ってカメラに画面を近づけること?
違うよ!
物理的に持ってこなくていいの!


じゃあ、資料をカメラ越しに見せるの?
それも違う!
ちゃんと共有ボタン押してね!

今日は、リモートインスペクションの効果的なレビューを実施する方法について解説するね

リモートワーク時代のインスペクションとは
リモートワークの普及に伴い、システム開発におけるインスペクションの実施方法も大きく変化しています。特に、物理的に離れた場所で働くチームメンバーの協力が必要な場合、リモートでのインスペクション(以下:リモートインスペクション)の実施が重要となります。
以前はオフラインでの対面型のレビューが主流でしたが、現在ではオンラインツールを使って、どこにいても効率的にインスペクションを実施できるようになりました。
リモートインスペクションでは、リアルタイムでのコミュニケーションや、進捗の迅速なフィードバックが可能になるため、早期に問題を見つけ、解決できます。
インスペクションとは
インスペクションは、ソフトウェア開発の各段階で行われるレビュー手法の一つで、コード、設計、ドキュメントなどを関係者が精査することで欠陥を早期に発見し、品質を向上させることを目的としています。インスペクションでは、明確に役割とプロセスを決めます。その上で、コードの構造、設計の整合性、ドキュメントの完全性などをチェックします。
インスペクションのメリット
インスペクションのメリットは、以下の通りです。
- 不具合の早期発見:テスト前に問題を発見することで、後の工程での不具合を減らせます。
- 品質向上:複数の視点から精査することで、より高品質な製品を提供できます。
- チーム間の知識共有:インスペクションを通じて、チームメンバー間でのコミュニケーションが活発になり、プロジェクト全体の理解が深められます。
インスペクションと他のレビュー手法
ソフトウェア開発のテストレビューでは、代表的な4つの手法があります。その中でもインスペクションは公式で行うレビューであり、他のレビュー手法より形式的に進行します。
1、インスペクション
- 目的:欠陥の早期発見と品質の改善
- 参加者:開発者、品質管理担当者、テスト担当者など、関係者
- プロセス:事前に定められたルールや役割に基づいて計画的に進行します。議論を通じて改善点を洗い出します。必ず議事録を作成し、フィードバックします。
2、ウォークスルー
- 目的:コードや設計の理解を深め、潜在的な問題を発見
- 参加者:開発者、チームメンバー、テスト担当者
- プロセス:レビューされる人が対象物や成果物を説明しながら進行し、参加者全員が意見を交換します。
3、テクニカルレビュー
- 目的:技術的な観点から、設計やコードの問題発見と品質改善
- 参加者:開発者、テスト担当者、技術者など、専門的な知識を持つメンバー
- プロセス:技術的基準に基づき、コードや設計が仕様通りか、技術的に正しいかを検証します。問題が発生した場合、その技術的な原因を指摘し、改善方法を提案します。
4、非形式レビュー
- 目的:軽いチェックや改善提案
- 参加者:必要に応じて、開発者や関係者
- プロセス:迅速に進行し、軽くチェックします。詳細な記録は不要で、非公式な方法で問題点や改善点を把握します。
レビュー種別について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【JSTQB新シラバス対応】ーレビュー種別ー
ウォークスルーについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ウォークスルーについて
リモートインスペクションの課題
リモートでインスペクションを実施するには、オンライン特有の課題があります。これらの課題を理解し、適切に対処することが必要です。
1、コミュニケーションの障害
インスペクションが物理的に離れた場所で行われる場合、参加者間のコミュニケーションが重要です。しかしオンラインでの開催では、表情や反応が見えづらいため、発言しづらいことがあります。さらに、音声や画面共有のトラブルも、コミュニケーションの妨げになることがあります。
2、時間の調整
グローバルなチームでは、異なるタイムゾーンにいるメンバーがいることが多く、インスペクションのスケジュール調整が難しい場合があります。
3、ツールの活用
効果的なインスペクションには、オンラインツールの活用が不可欠です。しかし、これらのツールを適切に使いこなすためには、一定のスキルと経験が必要です。
リモートインスペクション:効果的な実施方法とツールの活用
リモートでのインスペクションには、オンライン特有の課題がありますが、適切な方法をとることで、効果的な実現が期待できます。以下に、リモートインスペクションを効果的に行うための方法とツールについて紹介します。
実施方法
リモートインスペクションを効果的に行うためには、以下の実施方法が必要になります。
1、明確なプロセスとルールの設定
リモートインスペクションを実施する場合、事前に明確なプロセスとルールを設定することが大切です。どのような資料を使用するか、誰がどの部分をレビューするのか、フィードバックはどのように行うのかをしっかり決めておく必要があります。
2、事前準備
参加者に必要な資料を事前に配布するだけでなく、使用するツールのテストも行い、システムトラブルを防止します。特にオンラインで使用するツールの使い方に関しては、参加者全員が十分に理解している必要があります。また、事前にインスペクションの目的や進行方法を共有することも大切です。
3、オンラインミーティングの開催
リモートインスペクションを実施する際は、時間厳守でミーティングを開催することが重要です。オンライン会議ツールの機能を活用し、進行役がタイムマネジメントを徹底することが必要です。また、インスペクション中に発言が重なったり、沈黙したりするのを防ぐため、発言の順番を決めておくとよりスムーズに進行できます。
4、レビューを小分けにする
リモートインスペクションでは、1回の会議で全てを終わらせることが難しいこともあります。そのため長時間の会議を避け、レビューを小分けにして実施することが効果的です。
5、定期的な進捗報告とフィードバック
チームメンバーは定期的に進捗を報告し、問題点を早期に発見していくことが重要です。情報共有ツールを活用することで、チーム全体で進捗を追いやすくなります。また、参加者は具体的なフィードバックを提供し、改善策を提案することが、品質向上に繋がります。
ツールの活用
リモートインスペクションを効果的に実施するためには、オンラインツールの活用が必要不可欠です。以下に、代表的なツールを紹介します。
- GitHub/GitLab:
コードレビューやバージョン管理に便利です。オンラインでのフィードバック履歴が残るため、後から確認することが可能です。 - Google Docs/Confluence:
ドキュメントの共有やレビューがリアルタイムでできるため、チーム全員が即座にフィードバック、内容を修正できます。リモートインスペクションで発見した問題点を即座に反映できます。 - Zoom/ Microsoft Teams:
リアルタイムでの会話や会議を実施するために使用され、問題点を詳細に議論する場として活用できます。
リモートインスペクションを成功させるためのポイント
リモートインスペクションを効果的に実施するためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下に、リモートインスペクションを成功させるためのポイントを紹介します。
1、積極的な参加
参加者全員が意見を出し合い、積極的にフィードバックを実施するのが重要です。問題点を指摘し、改善策を提案することで、インスペクションの効果が最大化します。
2、タイムマネジメントと進行の効率化
オンライン環境では、注意が散漫になりやすいことがあります。事前にどの部分を重点的にレビューする項目を明確に決め、進行時間を設定しておく必要があります。進行役はツールの機能を活用することで、時間内に効率的なレビューを完了できます。
3、具体的なフィードバック
フィードバックは具体的で、改善案を示すことが求められます。抽象的なコメントだけでは理解しにくい場合があります。オンラインでのフィードバックは、抽象的なコメントではなく、どの部分にどのような問題があったのか、改善案を具体的に示すことが重要です。
4、適切なツール選びと活用
リモートインスペクションでは、効果的なツールを選び、活用することが大切です。また、参加者がツールを十分に使いこなす必要があります。必要なツールを選定し、そのツールを使いこなすことが、品質向上へとつながります。
まとめ
リモートインスペクションは、リモートワーク環境での品質管理において重要な手法です。成功させるためには、チーム全体で協力し、明確な目標を設定することが大切です。適切なプロセスと必要なツールを活用し、効果的なフィードバックを実施することで、リモート環境でも、高品質な製品を提供することが期待できます。
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