トップダウンテストとボトムアップテストそれぞれの特徴について解説

male Icon

トップダウンテストって、ピラミッドのてっぺんから順にテストするやつでしょ?

まあ構造的には近いけど、古代感は要らないよ!

female Icon

male Icon

じゃあボトムアップは、下から攻めてミイラと戦う感じ?

それ発掘作業だから!
今日は、トップダウンテストとボトムアップテストの特徴について解説するね!

female Icon

トップダウンテストとは

トップダウンテストとは、結合テストの一つであり、ソフトウェアやシステムのテストを上位モジュールから順に実施する手法です。

まず、画面UIやコントローラ層などの上位モジュールを、先に動作させてテストを実施します。そして、それらをテストした後、下位モジュールという順番でテストしていきます。
上位モジュールをテストする際、下位モジュールが未完成だった場合には、スタブ(Stub)という仮のプログラムを使って代用します。

トップダウンテストは、特に画面UIやコントローラ層など、ユーザーインターフェースや操作フローを重視した設計を検証する場合に有効です。

トップダウンテスト

ボトムアップテストとは

ボトムアップテストも結合テストの一つであり、トップダウンとは逆に、下位モジュールから順にテストを実施する手法です。

まず、基盤部分のロジックや計算処理といった下位モジュールを先に動作させてテストを実施します。そして、それらをテストした後に、上位モジュールという順番でテストしていきます。
下位モジュールをテストする際、上位モジュールが未完成だった場合は、ドライバ(Driver)という呼び出し元を模擬する仮のプログラムを作成し、下位モジュール単体の動作をテストします。

ボトムアップテストは、特にロジックの正確性や処理の安定性を重視したい場合に有効です。

ボトムアップテスト

上位モジュールと下位モジュールとは

結合テストでは、モジュールを機能や役割によって「上位」と「下位」に分け、それぞれに異なる役割を持たせています。

  • 上位モジュール
    ユーザーに近い部分や、システム全体の制御を担うモジュールです。画面UI、ユーザーの操作受付、処理の呼び出しを統括するコントローラ層やフレームワーク部分などが該当します。
  • 下位モジュール
    具体的な処理を実行するロジック部分を担うモジュールです。計算処理やデータベースアクセス、外部API通信など、システムの内部機能などが該当します。

スタブとドライバとは

トップダウンテストやボトムアップテストで欠かせないのが、スタブとドライバという仮のプログラムです。

  • スタブ
    トップダウンテストでよく使われる仮のプログラムです。未完成の下位モジュールの代わりに、仮の戻り値や動作を返す簡易的なプログラムを用意することで、上位モジュールのテストを先に進めることが可能です。
  • ドライバ
    ボトムアップテストでよく使われる仮のプログラムです。下位モジュールをテストするために、未完成の上位モジュールの代わりに下位モジュールを呼び出し、入力データを渡すことで、動作を検証します。

トップダウンテストのメリットとデメリット

トップダウンテストのメリットとデメリットについて、以下に紹介します。

メリット

  • 上位モジュールでの問題を早期発見
    画面遷移や操作フローの不整合などのUI設計上の問題を、早期に発見できます。
  • ユーザー視点の動作確認が早期に可能
    画面遷移やエラーメッセージの表示など、UIに関わる部分を早い段階で検証できます。

デメリット

  • スタブの作成に工数がかかる
    下位モジュールが多い場合、それぞれにスタブが必要となり、その分の作業負荷が増えます。
  • 下位モジュールの詳細動作確認が後回しになる
    上位モジュールから順にテストするため、実際のビジネスロジック部分の不具合発見が遅れるリスクがあります。
  • スタブによる動作確認では限界がある
    スタブはあくまでも仮のプログラムであるため、実際の処理結果を完全に再現できない場合があります。

ボトムアップテストのメリットとデメリット

ボトムアップテストのメリットとデメリットについて、以下に紹介します。

メリット

  • 開発と同時に進行しやすい
    下位モジュールからテストを実施するため、システム開発の進行に合わせてテストを同時に進めやすくなります。
  • 下位モジュールのロジックを早期に確認できる
    下位モジュールを早期に検証するため、計算処理やデータ変換など、内部処理の正確性を担保しやすくなります。
  • ドライバ作成が比較的シンプルな場合が多い
    ドライバを作成する際に、呼び出し処理のみを実装すれば良いケースも多く、比較的作業負担が少ないことがあります。

デメリット

  • 上位モジュールの修正による影響
    上位モジュールで不具合が見つかり修正することで、下位モジュールもそれに伴い修正することになり、全体に大きく影響が及ぶことがあります。
  • 上位モジュールの動作確認が遅れる
    上位モジュールであるUIや画面遷移のテストが後回しになり、ユーザー視点での動作検証が遅くなりがちです。
  • ドライバの作成に工数がかかる
    複雑な呼び出し処理が必要なケースの場合、作業負荷が増すことがあります。

トップダウンテストとボトムアップテストの違いとは

トップダウンテストとボトムアップテストは、どちらも結合テストで使われる重要なテスト手法の一つです。
ここでは両者の違いについて、解説します。

比較項目 トップダウンテスト ボトムアップテスト
テスト開始位置 上位モジュールから 下位モジュールから
使用する補助プログラム スタブ ドライバ
テストしやすいモジュール UI系、操作フローなど データ処理、計算ロジックなど
メリット 画面遷移やユーザ視点の確認が早い システム開発の進行に合わせてテストを同時に進めやすい
デメリット スタブ作成の工数がかかる 上位モジュールの不具合が後から発覚することがある

トップダウンテストは、上位モジュールからテストを始める手法で、画面や操作フローなどユーザー視点の検証を早期に行えるのが特徴です。
未完成の下位モジュールは「スタブ」で代用しますが、スタブ作成に工数がかかったり、下位モジュールでの動作確認が後回しになったりすることがあります。

一方、ボトムアップテストは下位モジュールからテストを進める方法で、データ処理やロジックなど内部の精度を早期に検証できるのが特徴です。
未完成の上位モジュールは「ドライバ」で代用しますが、上位モジュールの不具合が後から見つかった場合は、下位モジュールにも影響を受けることがあります。

このように、両者はテスト開始位置や使う補助プログラム、重視するポイントが異なるため、プロジェクトに合わせて使い分けることが大切です。

トップダウンテストとボトムアップテストの選定ポイント

トップダウンテストとボトムアップテストのどちらを選ぶかは、プロジェクトの状況によって異なります。
以下に、選定するためのポイントを紹介します。

  1. モジュールの完成状況
    • 上位モジュールが先に完成している場合
      トップダウンテストが効果的。UIや画面遷移を早期に検証できます。
    • 下位モジュールが先に完成している場合
      ボトムアップテストが効果的。ロジック部分を優先して検証できます。
  2. 優先したい品質
    • ユーザー視点を重視する場合
      トップダウンテストが適切。画面操作やUIの品質を早期に検証できます。
    • 処理の正確さや内部ロジックを重視する場合
      ボトムアップテストが適切。計算処理や複雑なアルゴリズムを早期に検証できます。
  3. 工数・リソース・スケジュール
    • トップダウンテストはスタブの作成に工数がかかる場合あり
    • ボトムアップテストもドライバの作成が必要だが、比較的簡易に済むケースが多い

スタブやドライバの作成工数も、考慮する必要があります。短納期の場合は、早期に部分的な品質を可視化できる手法の選択が重要です。
どちらを選ぶかはプロジェクトの性質や開発状況によって変わりますが、開発状況や課題を見極め、柔軟に使い分けることがシステムテストの成功につながるでしょう。

トップダウンテストとボトムアップテスト選定ポイント

まとめ

トップダウンテストとボトムアップテストは、いずれも結合テストにおける重要な手法です。
それぞれの特性を理解し、プロジェクトに合った方法を選ぶことが、システムの品質向上につながります。
テストの計画や実施に不安がある場合は、第三者検証を活用するのも有効な選択の一つです。

株式会社GENZは、豊富な実績をもとにシステムテストを通じて、お客様の製品が高品質で安定した稼働を実現できるようサポートいたします。結合テストでお困りの際は、ぜひご相談ください。
GENZでは、他にもソフトウェアテストを中心に、ITに関するお困りごとに合わせた様々なサービスを提供しております。

サービス内容は、こちらをご覧ください。
GENZ SoftwareQA ソフトウェア品質確保サービス サービスメニュー

ご不明な点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

GENZではその他にも、ソフトウェアテストを中心に、ITに関するお困りごとに合わせて様々なサービスを提供しております。
お問い合わせの段階で、プロジェクトの詳細やスケジュール、仕様が確定していなくても、解決したい課題に合わせた最適なテスト内容を一緒に検討いたします。ご不明な点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら