~テストをアウトソースするメリット~
私たちが何気なく利用している電子決済システムやスマートフォンアプリが、いくつものテストを乗り越えてリリースされていることをご存じでしょうか。システム開発において、テストはユーザーが不利益を被るような不具合がないかを確かめる重要な工程です。近年テストを外部の会社に依頼するケースは多々あります。なぜ重要な工程であるテストをアウトソースするのでしょうか。今回は「テストをアウトソースするメリット」について解説します。
1.テストをアウトソースするとは
テストをアウトソースするとは、自社で開発したシステムのテストを社外の組織に依頼することを指します。大手食品メーカーがテレビCMの制作を外注するのと同じように、テストのノウハウをもたないシステム開発の会社が外部の会社にテストをアウトソースする事例は多々あります。世の中で新しいシステムが開発されリリースされるにつれて、テストの受注を専門とする会社も増加しています。
ソフトウェアのテストについては、以下の記事をご参考ください。
【ゼロからわかるシステムテスト入門】ーソフトウェアのテストがなぜ必要かー
2.テストをアウトソースするメリット
テストをアウトソースすることで得られるメリットは下記4点です。
・専門的な知識や経験を活用できる。
テストをアウトソースすることで、依頼先の専門的な知識や経験を活用することができます。テストのノウハウをあまり持っていなくても、高い水準の効果的なテストを受けることができます。自社で行うことが難しい高度なテストを実施することや、複雑な不具合に対処することも可能です。
・システムの信頼性を高めることができる。
テストをアウトソースすることによって、第三者のテストを受けることになり、システムの信頼性を高めることができます。会社内でテストを行うと開発過程を見てきたことによって先入観が生じ、想定されていないような不具合を発見することが困難になります。開発に関わっていない外部機関であれば先入観なくテストを実施できるため、自社のテストでは発見されなかった不具合も発見できる可能性があり、システムの信頼性向上につながります。
・自社のリソースを有効活用できる。
テストをアウトソースすることで、テストに割くリソースを自社での別業務に割くことができます。社内でテストを行う場合、システムの仕様をよく理解しているためシステム開発チームがテストも担当することが多いです。アウトソースすることで、システム開発チームがテストに割いていたリソースを、別システムの開発や開発したシステムの改良などのコア業務に充てることができます。
・コストを削減できる。
アウトソースはコストがかかると思われがちですが、必要な時に必要な分だけ依頼できるため、場合によってはテストを行うことができる人材を社内で雇用し続けるよりもコストが低く抑えられます。テスト経験の豊富な会社に依頼すれば、自社で行うよりも少ない工数でテストを完了できるため、低いコストでクオリティの高いテストを実施することが可能です。
3.テストをアウトソースする際の注意点
アウトソースによるメリットを最大限得るためには、下記4点に注意する必要があります。
・プロジェクトに適した依頼先を選択する。
効果的にアウトソースするには、テスト業務を受注している多数の会社の中から、自社のプロジェクトに最適な会社を選択することが重要です。コストや実績、評判など選択の基準となるポイントは複数ありますが、自社にとって必要な水準を満たしているかを依頼前に確認する必要があります。依頼先を選ぶ際のポイントにつきましては、次章で詳しく解説します。
・テストの目的をある程度決めておく。
満足のいくテストを実施するには、テストの目的をある程度決めておく必要があります。テストの目的は、システム性能の確認や不具合の検出、セキュリティの強化など多岐にわたり、それぞれテストの手法が異なります。目的を定めておくことで、その分野に強みを持った依頼先を選択することができるだけでなく、依頼先との認識のズレをなくし、求めているテスト結果を得やすくなります。
・契約内容を明確にする必要がある。
テストをアウトソースする際には、契約内容を詳細に把握しテスト内容を理解する必要があります。費用やスケジュールだけでなく、テストの目的や範囲、テストによって得られる成果物などについて明確にした上で依頼することで、トラブルを避け納得のいく結果を得ることができます。
・社内にテストのノウハウが蓄積されにくい。
テストをアウトソースすると、社内のリソースを別業務に回すことができる反面、社内でテストに関するノウハウを蓄積することが難しいとも言えます。アウトソースする際には、依頼先がどのような流れで業務を進めているか、どのような手法を用いてテストしているか、などに注目することで一定のノウハウを獲得することができます。
4.テストをアウトソースする会社の選ぶ際のポイント
アウトソースする会社を選ぶ際には下記4点を確認することで、自社に最適な依頼先を選択することができます。
・アウトソースしたいテストの実績があるか
より良い会社を選ぶにはアウトソースしたいテストの実績を確認することが有効です。アウトソースしたいテストにおいて高い実績があれば、その分野に精通しており効率よく質の高いテストを実施できる会社である可能性が高いと言えます。ソフトウェアのテストには様々な種類があり、会社ごとに強みとしているテスト方法が異なります。自社の悩みと類似している事例での実績を確認することで、依頼したい内容を強みとしている会社を見極めやすくなります。アウトソースする前に会社のウェブサイトや口コミで実績を確認しましょう。
・予算や納期が合っているか
テストの予算や納期も会社の選択で重要な要素です。評判のよい会社であっても事前に予算や納期を確認しなくては、想定以上にコストがかかる場合やシステムのリリースが間に合わなくなる可能性があります。アウトソースするテストの内容によって予算や納期は異なるため、事前にテスト内容を相談し具体的な見積もりを依頼することが有効です。複数の会社に見積もりを依頼し比較すると自社に合った条件の会社を発見しやすくなります。
・有用なフィードバックをもらえるか
テスト実施後に有用なフィードバックがもらえるかについても確認しておく必要があります。テストの結果、不具合の発生部分や件数のみをフィードバックする企業や、不具合の分析を行い今後の開発の注意点を含めてフィードバックする企業など会社によってテスト後の対応は様々です。会社のウェブサイトに記載された事例やサービス内容から、テスト後の対応についても確認しましょう。
・担当者と円滑なコミュニケーションが取れるか
担当者と円滑なコミュニケーションが取れるか、は円滑にテストを進める上でとても重要です。会社や担当者によって顧客対応の姿勢は様々です。テストをアウトソースする場合は、何度もコミュニケーションをとる必要があるため、担当者の返信の速度や丁寧さについて相談の段階で注目しておくとよいでしょう。
5.まとめ
テストをアウトソースすることには、専門的な知識や経験の活用やシステムの信頼性の向上などのメリットがあります。テストの目的を明確にしたうえで、自社に最適な依頼先を選択することで、アウトソースのメリットを最大限享受することができるでしょう。
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